2021年発売,配信,発表の印象に残った曲10選

2021年発売,配信,発表の印象に残った曲10選

 

 はじめましての方ははじめまして、

 KUSHIと申します。

 

 今年もなまおじさん主催の楽曲オタク Advent Calendar に参加させて頂きました!

adventar.org

 

 曲を決めた条件は去年と同じです。

  • ジャンル不問。
  • 同じアーティスト楽曲は無し、最大1曲まで。

としています!

 曲順は動画配信(youtube等),配信,CD発売日の早い順からとします。 

 

※注意点

・コードの話とかも書いてあるのですが、解釈違いや知識不足な点があるかもしれませんのでご了承下さい。

・去年も同様ですが、一人呟き,感想,日記みたいな内容です。

・主にリンク先はYoutubeApple Music,Spotifyとしています。

今年もジャンルバラッバラです。ご了承下さい。

 

(ここまで去年と全く同じ文面)

 

 

1.Blank Paper (Prod. TEMPLIME)/日高零奈(CV:蔀 佑佳),東雲和音(CV:天音みほ),茅野ふたば(CV:堀越せな)

www.youtube.com

 

配信日:1月2日,PV配信日:3月27日,CD:6月30日

 

作詞,作曲,編曲:KBSNK(TEMPLIME)

 

 去年も電音部の楽曲を選出しましたが今年はこの楽曲をリピートして聴いていました。基本的にイントロ、Aメロはコードの繰り返しでメロディを変えたり音色を増やして飽きさせずに工夫されており、それでも十二分に聴き心地が良いのですが、特に自分はサビの展開が好きです。サビになると繰り返しのコードが変わり、ちょっとドラマチックな感じのコード進行になります。(基本的にコード進行は、Aメロ部分では8小節繰り返し、サビは繰り返しがない→サビがドラマチックに聴こえる要因?)そして特に自分が好きなポイントなんですが、16ビートで刻んでいたリズムが途中で四つ打ちに変化し、歌詞「今感じてるグルーブが」の通りグルーブがより強調され心地よくリズムに乗れる所がたまらないですね…PVの和音みたくよだれが出る…(自分の好きなサビ途中四つ打ち参考曲→黒木渚君が私をダメにする」,パスピエ名前のない鳥」)

 

 個人的な解釈ではありますがこの楽曲は「2ステップもどき」だと思っていてます。2ステップのリズムパターンの特徴としては各小節の2,4拍目にキックが入らない、シャッフルビート等がありますが、そもそも2ステップは

(前略)

この2 Step(ツーステップ)は由来とするUS Garageからパーカッシブな方向へ進化したUK Garageの中でも、従来のFour-on-the-Floor(4つ打ち)に適合しない不規則なリズムパターンを特徴としており、楽曲数からもUK Garageの大部分を占めています。

(以下略)

引用元:2 Step(ツーステップ)/UKガラージ/UKGとは Part 1 – 音楽ジャンル | YGDB:洋楽データバンク

 

前述したような不規則なリズムパターンが主であり、前段でも触れた4つ打ちは2ステップの特徴としては入らない音楽ジャンルとなっています。つまり、本楽曲は「2ステップ+他のジャンル(四つ打ちでクラブ音楽ジャンルだとハウス,テクノ等)」を混ぜた一筋縄ではいかない楽曲となっているように思えます。これの参考例としてBPMも近いm-floの「come again」を挙げます。

www.youtube.com

 

「come again」は基本サビは2ステップですが、途中でVERBALさんのラップパートのバックはジャズドラムのようなブレイクビーツになっていたりこちらも「2ステップ+他のジャンル」楽曲になっています。(ただし、音色的には2ステップではないと☆Takuさん本人からの明言がある。)こういった別ジャンル同士の融合曲は構成が違うもの同士が組み合わされるので前段でも書いた「飽きない」に繋がるのではないかと思っています。*1

 

 また、歌詞も素晴らしく、1Aで各キャラクターの心情を各キャラクター自身が歌い、1A後半+サビで出会いと始まり、2Aで心情変化、再びサビで心情変化を経た3人の更なる想いといったストーリー性のあるものになっています。「仲間(以上?)と出会い、闘争心を燃やして進み始めていく」←ここでこの楽曲が終わるのが個人的に好きなポイントで、「胸に秘める闘争心」で歌詞が終わり、アウトロに入っていくのですが、このアウトロがサビのコード進行、音色、四つ打ち+イントロのボーカルチョップが合わさって「これから始まる高揚感」が物凄く感じるんですよね。この「高揚感」が好きなポイントに繋がってると思います。「話したいよ この高揚」。

 

 先ほど挙げたm-floの「come again」について☆Takuさんは

「日本の歌謡曲の方程式を無視してつくった曲です。」

引用元:www.m-flow.com  discography

 

とコメントしています。アキバエリアの3人も「歴史が組み上げた構造 壊すくらいの青さで」進んでいくのでしょうか。ストーリー展開にも注目ですね。(因みにストーリーはマンガでも読めます。一部、Blank Paperの歌詞内容にあたるストーリー部分もありますので気になった人は是非読んでみてはいかがでしょうか?)

 

2.鳥になり海を渡る/崎山蒼志

youtu.be

 

配信日、CD:1月27日

 

作詞,作曲,編曲:崎山蒼志

 

 自分はアニソンのような凝った編曲が大好きですがそれと同じくらいにシンプルな編曲の楽曲も大好きです。本楽曲は歌とギターのみ。そしてブラッシング混じりの速い16ビートストロークで進んでいく。元々彼が有名になった「五月雨」で彼のことを知りましたがメジャー1stアルバムで五月雨と同じようなシンプルな編曲で驚き+嬉しさがありました。

 この曲はギターならではの開放弦コードがテンション(6th,9th,#11th,等)を生み出してます。

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※カポ1なので厳密にはD♭M7/A♭→G♭→Cm→E♭m9

 

過去演奏動画等での目コピ&耳コピなので正確さには欠けますがサビ頭はざっとこんな感じだと思います。二番目と三番目のコードが開放弦(左の〇部分=指では押さえない部分)テンション部分ですね(Fは6th,7th,9th,#11thでBmは11thと♭13th?)。個人的にこの開放弦がテンションのコードはギターならではの独特な響きを放つので滅茶苦茶好きですし、自身で作った曲にこういった開放弦テンションギターを入れたくなってしまいます。

 

↑上記のコードをピアノで打ち込んだ結果。やはりピアノという楽器のイメージの所為かJazz、お洒落っぽく聴こえる。

 

↑上記のコードをアコギで弾いた結果。イメージとしてはお洒落さは減り、「自然」を感じる。

 

 また、本楽曲をアコギにすることで「鳥になり海を渡る」といった自然を想起させるキーワードをより自然という世界観にのめり込めるような装置になっているなと思いました。

 

 崎山さんはギター一本で(ギター的に)物凄く難しいコードを押さえながら、矢継ぎ早に繰り出す事が出来、さらにその上で歌うという人間離れ技の持ち主だなと思います。現在19歳の彼がこれからどういった楽曲を生み出していくのか楽しみです。

youtu.be

なんだよA♭m6(-13)って…ギターで弾けるんだ…

 

3.セーラ☆ムン太郎/マハラージャン

www.youtube.com

 

PV配信日:3月4日,配信日:3月24日,CD:7月21日

 

作詞・作曲 モエチュウ(※マハラージャン氏のこと)

Produced by マハラージャン

Vo,Guitar&synthesizer/マハラージャン

Piano/皆川真人

Bass/ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

Drums/石若駿

Recorded by 小野寺伯文

Mixed by 髙山徹

Mastered by 山崎翼

 

 初めて聴いたときは衝撃を受けました。こんなにもグルーヴィーでサビがキャッチーで自分の好きなファンク,ソウル(80年代ディスコにも近い?)丸出しのアレンジをする新人(この曲のEPがメジャーデビュー作)が現れたと。一瞬で好きになりました。そして別の衝撃としてまさかTHE FIRST TAKEに出るとは思わなかった…

 彼はインタビューで「Daft PunkやJamiroquai等洋楽ばっかり聴いていた」といった旨の発言をされていますが、本楽曲は割と邦楽的なつくりになっているかと思います。構造としてイントロ,Aメロ,Bメロ,サビと分かりやすく分かれていますし、コード進行としても

 

Key=G 

 サビ

 Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅵm7→Ⅳ#m7-5

 Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅴ#dim7→Ⅵm7…

 

後半のⅤ7→Ⅴ#dim7→Ⅵm7のⅤ7とⅥm7の間にⅤ#dim7を入れる「クリシェdim」の点から邦楽的なイメージを持ちやすく、聴きやすい耳馴染みのある楽曲になっていると感じました。

 また、演奏陣も素晴らしい。皆川さんのイントロのちょっとスタッカート気味なピアノやハマ・オカモトさんのスラップベース、石若さんのタイトなドラミングプレイが滅茶苦茶グルーヴィーで自然と体が動いてしまいますね。気持ちいい。

 さらに素晴らしい点として挙げたいのが小野寺伯文さんのレコーディングと髙山徹さんのミックス,山崎翼さんのマスタリング。音が良く、Spotify等サブスクで聴いてもドラムのキックとベースが前に出てとても心地よく、また各々の楽器が物凄く聴きやすい。挙げたお三方は他にどんな曲を携わっているんだろうと思って色々調べてみましたら凄い方々なんですね…

 

 小野寺伯文:

www.studiopenta.net

 

 髙山徹さん:

natalie.mu

natalie.mu

 

山崎翼さん:

tsubasayamazaki.jp

 

 これを機に思いましたがクレジット表記で作詞家,作曲家,編曲家、演奏者だけでなくレコーディングやミックス,レコーディング等のエンジニアの方たちについても調べたり語りあうのも面白いのかなと思いました。実際に山崎翼さんについては去年挙げた藤井風さんと(マスタリングで)繋がっているとは思いませんでしたし、新しい発見だなとつくづく思いますね。

 余談ですがライブバージョンもとても素晴らしいので興味のある方は是非。こちらは皆川さんのヴォコーダー入り。カッコイイ。

www.youtube.com

 

4.おもいでしりとり/DIALOGUE+

www.youtube.com

PV、配信日:4月6日,CD:5月19日

 

Words&Music:田淵智也

Arrangement&Sound Direction:睦月周平

Bass:田淵智也

Drums:山本真央

Strings:今野均ストリングス

Guitar&Programming:睦月周平

Vocal Direction:田淵智也

Recording Engineer:中村悠仁(VERYGOO),黒田かおり

Mixing Engineer:中村悠仁(VERYGOO)

Recording Studio:ROKU-st,PONY CANYON代々木Studio

Mixing Studio:ROKU-st

 

 TVアニメ「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」OPテーマ

 

 初めて聴いた時の感想は「メロが良い」。サビの「星に願いを できるだけ愛を おもいでしりとり」の「おもいでしりとり」部分が滅茶苦茶印象に残りやすく良いメロだなぁと沁みじみ思います。何故印象に残りやすいのか、自分なりの解釈ですがこの曲のKeyはF#でサビの頭は王道進行になっていて

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(前半2小節メロ間違ってる可能性あり)

最初の2小節は殆ど同じメロディの繰り返しですが3小節目でファ#からド#へと5度高く移行し、この4小節の最高音になります。そうすることで1,2小節のあまり変わらなかった景色が3小節目で景色が変わる、開けるような効果をもたらしているように聴こえます。そして4小節目の最初のコードがD#m9でメロが9thとなっており少し複雑な切ない響きになります。しかしすぐにD#m7に戻るのでとても安心感があります。つまり「おもいでしりとり」の部分は「2小節後に景色が開けるような音の高いメロディーから急に切ない雰囲気を醸し出しつつ安定して終わっていく」といったことをしているので印象に残っているのかなと思いました。他にも「おもいでしりとり」と歌う後ろでstringsが同じメロディを弾いている(ユニゾン)のもメロディーが強調され印象に残っているのかなと思います。

 

 また自分のこの曲の好きな理由として「2000年代後半~2010年代前半くらいまでの切ない曲調だけどアップテンポなアニソン」楽曲の雰囲気を纏っているからです。以下、該当する自分の好きなアニソンを挙げると

 

colorless wind/結城アイラ(『sola』OP):2007年4月25日発売

 作詞:畑亜貴,作曲・編曲:大久保薫

 

euphoric field/ELISA(『ef- a tale of memories.』OP):2007年10月24日発売

 作詞:酒井伸和 , 訳詞:西田恵美 ,作曲・編曲:天門

 

Once/原田ひとみ(『いつか天魔の黒ウサギ』OP):2011年7月27日発売

 作詞:岩里祐穂,作曲:清水武仁,編曲:小森茂生

 

Authentic symphony/ChouCho(『ましろ色シンフォニー -The color of lovers-』OP)

 :2011年10月26日発売

 作詞:こだまさおり,作曲・編曲:虹音

 

シグナルグラフ/Annabel(『恋と選挙とチョコレート』OP)

 :2012年7月25日発売

 作詞:Annabel,作曲・編曲:myu

 

starlog/Choucho(『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』OP):2013年7月31日発売

 作詞:松井洋平,作曲・編曲:川本新

etc…

 

 (全曲ではありませんが)これらの共通項として

 

 ・サビ(特にサビ頭)が王道進行(4536進行)or 456進行

 ・stringsが全面的に入っている

 

といったことが挙げられます。以上の2つの共通項が「おもいでしりとり」にも入っているので好きになるのは必然的なのかもしれません。*2

 

(前略)

――そういう意味でも、サビに出てくるカギカッコが使われた、掛け合いのようになっている部分は非常に大事になるような気がします。  

稗田 その部分は、カギカッコごとに歌詞がしりとりになっているんですけど……。

飯塚 私、その中の“「行かないで」”とか“「できるだけそばに」”みたいな言葉が、沙優ちゃんが本当は言いたいけど言えない気持ちだと解釈していまして。それ以外の部分には作り笑いをしちゃったり本心を言えなかったりする、みんなに見せる沙優ちゃんが出ているのかな、という感じがしています。  

緒方 しかも、しりとりが後半になるにつれて想いがだんだん高ぶっていっている感じが読み取れるのも、すごく素敵なんです。  

飯塚 で、Dメロを経ての“「好きです」”がねぇ……。  

緒方 ね! 「あー!」ってなった。  

内山 ずっと言いたかったことが、やっと言えるんだもんね。だから私、1曲の中だけでも成長を感じました。

(以下略)

引用元:儚くきれいに、言葉と想いを繋ぐ――。DIALOGUE+「おもいでしりとり」リリースインタビュー リスアニ!WEB

 何故タイトルが「しりとり」がついているのかと思ったらそういうことだったんですね…知りませんでした。流石田淵さんですね…

 

5.ねずみ浄土/GRAPEVINE

www.youtube.com

PV、配信日:4月6日,CD:5月19日

 

作詞,作曲:田中和将

 

 今年で1番歌詞が印象に残っているといったら「新しい果実」(アルバム名)収録の曲たちでした。その中でも印象に残っているのがこの曲。キャリア20年以上のロックバンドがブラックミュージック由来の曲を出したのが驚きでした。

 曲の始まりからいきなり高いファルセット、ドラムのリムショットがブラックミュージック感を出していますが、面白いのはL.Guitarの歪みですね。Fuzz並み、いやそれ以上に歪んでいますね。ブラックミュージックだとギターの歪みはクランチ気味ぐらいが常套手段ですが、そうしないのがロックバンド的といいますか、挑戦的であると思います。

 歌詞は

(前略)

──「ねずみ浄土」に出てくる「新たなフルーツ」というフレーズは、アルバムタイトル「新しい果実」に直結してますね。  

田中 そうですね、象徴的な言葉かなと思いまして。ニューノーマルとか、今のご時世いろんなことが言われてるじゃないですか。この曲の歌詞にはもっといろんな意味合いを含ませているんですけど、西洋の宗教や日本の土着的なことも交えつつ、今の世相や時代を描いたつもりです。僕の悪い癖で、ちょっと複雑にしすぎたきらいもありますが。  

──いろいろなメタファーを提示しながら、結局、答えまでは歌っていないのも田中さんらしいなと。  

田中 答えからはどんどん遠ざかってますね(笑)。「葛篭はどっちでしたか」と歌ってますが、二元論になりがちな現状に対する自分なりの考えも込めてますね。

(以下略)

引用元:GRAPEVINE「新しい果実」インタビュー|愚直なまでに音と時代に向き合ったアルバムはどのように生まれたのか 音楽ナタリー

「アダムとイヴ」,「復楽園」,「オリジナルシン」等旧約聖書関連の言葉から西洋の宗教と「おむすびころりん」の日本の土着的なことを交えた世相,時代を描いているといった発想がぶっ飛んでいますね。最後の「好き嫌いはよせ」の通り、二元論に対する現状批判も描かれてますね。

 正直いうと歌詞の内容が難しくてあまり書けないんですけど気になるのが割とこの曲に関するインタビューでは西洋の宗教部分と日本の土着的部分が多く語られてるイメージなんですけど、

いいかい? これはゲーム

一切受け入れてしまおう

いいかい? まずはプレイ

誰だってビギナーからのスタート

引用:GRAPEVINE - ねずみ浄土(Official Music Video)youtube概要欄より YouTube

ここの部分が個人的にひっかかるんですよね…うーん…

 この歌詞を踏まえての韻の踏み方も凄いですよね。

新たなフルーツ(a a a a u u u

アダムとイブ (a a u o i u

あなたは喰う (a a a a u u

まばたきもせず(a a a i o e u

 

おやすみダーリン  (o a u i a i

鼠降臨       (e u i o i

おむすびころりん  (o u u i o i

 

こう韻を踏むことでリズムが乗りやすく無理にリズムが崩れないので心地よいですね。にしても取り合わせの単語が凄いですね。

 

(前略)

ーー田中さんご自身では、聴き手に『新しい果実』をどのように聴いてほしいでしょうか。

昨今、どちらかというと、答えが出ている音楽を人々は求めている気がするんです。説明的な、わかりやすく盛り上がれるもの、わかりやすくエモいものなど。でも、この『新しい果実』では、イントロが長かったりとか、そういった流行の音楽とは、けっこう真逆のことをやっていると思うんですよね。

だからこそ、聴き方としては、自分のほうに僕らの音楽を引き寄せて、いろいろな想像をしてみてほしいんです。世の中のことを歌っているので、さまざまな捉え方ができる曲ばかりなんですよ。何かを考えるヒントや、議論のきっかけとして、聴いてもらえればいいなと思いますね。

ーー考察しながら聴くというのも、音楽の新しい聴き方の良さでもありますよね。

それがね、難しいところでもあるんですよ。最近音楽を聴く方のなかには、わからない曲はすぐ飛ばしちゃう人も多いんですよね(笑)。

(以下略)

引用元:GRAPEVINE・田中が語る「流行の音楽とは真逆なことをしている」アルバム

の魅力 anan web 

 

(前略)

──歌詞を通して、世に物申したい気持ちも?  

田中 それは常にありますよ! 前作も前々作も前々々作も。ストレートな歌詞ではないから伝わってないかもしれないですけど。今回も世の中のことだったり、人間のことを書いているので、今のこういう状況の影響も反映されてるでしょうし。

(以下略)

引用元:GRAPEVINE「新しい果実」インタビュー|愚直なまでに音と時代に向き合ったアルバムはどのように生まれたのか 音楽ナタリー

 確かに楽曲は「歌詞に共感性」や「難しくない歌詞」等のわかりやすい楽曲がTik Tok等ネット上では広まりやすいですが(個人的な意見ですが)本楽曲のように世の中に対して色んな想像を出来るような歌詞、楽曲は広まるという意味では難しいかもしれないです。しかし、世の中に対する意見、批判を楽曲というアプローチでずっと行っているGRAPEVINEという存在は稀有だと思います。まぁ「新しい果実」の世相批評は結構批判的なイメージなので目が覚める感じでしたね。Tr.6の「」は「阿る(おもねる)」ですしね…「阿るミュージック」…

 

6.LINE LOOP/サンドリオン

youtu.be

視聴動画:5月17日,配信日:5月19日

 

作詞:やぎぬまかな

作曲:木暮栄一 (the band apart)

編曲:田中秀和 (MONACA)

the band apart are 荒井岳史 [Guitar] 川崎亘一 [Guitar] 原 昌和 [Bass]  木暮栄一 [Drums]

All Other Instruments & Programming:田中秀和(MONACA)

Vocal Direction & Chorus:やぎぬまかな

Mixing Engineer:高須寛光(VICTOR STUDIO)

Mixing at VICTOR STUDIO 202studio

Recording Engineer:速水直樹, 藤城真⼈(origami PRODUCTIONS)

Recording at AG STUDIO, big turtle STUDIOS  

the band apart by the courtesy of asian gothic.

Mastering Engineer:山崎 翼(Flugel Mastering)

 

 クレジットに山崎 翼さんいる…マジか。

 

 初めて聴いた感想は「完全にバンアパじゃん」。まぁバンアパが演奏しているのでそうなるのは必然的ですが。

 驚きだったのが作曲が木暮さんだったっていうことですね。勝手なイメージですがバンアパでは木暮さん作曲の曲は「ノード」や「light in the city」等ドラミングプレイが独特=リズムが独特なイメージを持っていたのですがこの曲を聴いて「ポップな曲書くんだ」と思いました。本楽曲のドラム展開の数は多いですが割とメロディに沿ったドライングプレイをしていると感じました。(特にAメロコーラスの「overtake o overtake」部分。ベースと相まって音ハメが気持ちいい。)

オマージュなんだろうな…この頃だとWORKING!!の1期(2010年4月~6月放送)とか侵略!イカ娘1期(2010年10月~12月放送)とかの少しわちゃわちゃした感じですかね?完全に空想ですが。

 

 ご存知の方も多いと思いますが編曲の田中秀和さんは「V字上昇Victory」や「Ms.Rからの新着メール」など明らかにバンアパオマージュ編曲される程にはバンアパ好きで知られていますね。「Ms.Rからの新着メール」とか曲の流れが非常に「amplified my sign」ですし。本楽曲にも手拍子(「Moonlight Stepper」や「Castaway」など)等バンアパ楽曲を匂わす編曲になっているかと思います。

 改めて聴いても多幸感が凄いですね。メロディに対し無理のない文字数でアニメの様な世界観を纏ったやぎぬまかなさんの歌詞、バンアパ特有の複雑なコード進行によって感じる情景、そしてそれらをバンアパ愛で包み込んだような田中秀和さんの編曲、この3拍子がかっちりと噛み合わさって多幸感を生み出しているように聴こえました。

 

そら感情になりますね…(感情+LINE LOOP→感情+線loop→感情線loop)

 

7.ウラノミト/月ノ美兎

www.youtube.com

PV、配信日:7月17日,CD:8月11日

 

作詞:只野菜摘

作曲・編曲:広川恵一MONACA

 

 

 当時、このツイートで月ノ美兎さんがソロアルバムを出すことを知りtwitter内に貼ってた動画リンクを覗きに行って、作曲家陣がバラエティ豊か過ぎて笑った記憶があります。ASA-CHANG&巡礼,大槻ケンヂ&NARASAKI,長谷川白紙,堀込泰行いとうせいこう…今見ても凄いな…

 バラエティ豊かなアルバムですが、アルバムをフルで聴いてみて割とサウンドの統一感があったのが意外で驚きました。イメージとしては「80年代のリバーブ感」。サウンドは完全に現在のものなんですけど何故かちょっと懐かしい感じがしたんですよね。

 この「ウラノミト」もイントロが80年代を感じるエレピの音で懐かしさを感じます。このエレピやタイトルの通り最初の一声「moon light ツキノオト」は16分「ウラ」から入ったり、「(月の裏から)」のヴォコーダーがあったり僅かにファンクやソウルの匂いがしますね。

 しかしベースはサウンド面、プレイ面でもロック色がありますね。歪んでいるし、ずっと動いている(=休符が少ない。)。まぁそれは

 この面子であれば自ずと「CRIMSON LOVERS」が想起されますが、「CRIMSON LOVERS」のロックなサウンド感で(広川さん本人は本楽曲を「アシッドジャズ風」とツイートしている。)ブラックミュージックをやったら…という曲なのかもしれない。かなりの妄想ではありますが。

 歌詞でびっくりしたのが「どっちを選んでも ひとりの女 ひとつのカオス」。時偶、動画の絵を頼む友人のcoonelVtuberについて話したことがあったのですが、彼曰く、Vtuberの黎明期は中の人の性格を出さずに「キャラ設定」ベースでコンテンツを生み出していたと。だがしかし、それを無視していって「中の人」の性格でも出すようになり、今のVtuber界隈の状態に至ると。先程挙げた歌詞は正に「Vtuberのキャラ設定(月ノ美兎でいうと清楚)、中の人(月ノ美兎でいうとサブカルクソムカデ?)どちらを選んでもカオス」だと。黎明期のコンテンツ方法はとっくに終わったよとVtuber自身がそれを歌うというのが衝撃でした。(自分はVtuberは詳細に知らないので、間違っていたらすみません。)

 余談なんですけど月の裏側って結構写真で見ると結構不気味なのご存知でした…?(※検索注意)

 

8.EVERBLUE/Omoinotake

www.youtube.com

配信日:10月1日,PV:10月12日,CD:11月17日

 

作詞:福島 智朗

作曲:藤井 怜央

編曲:蔦屋好位置 omoinotake

 

 TVアニメ「ブルーピリオド」OPテーマ

 

 自分自身は確か「blanco」で彼らのことを知りましたが、スローテンポな楽曲の多いイメージを(勝手に)持っていたので、メジャーデビュー作の本作は今まで以上にアップテンポな楽曲で驚きました(アニメタイアップの影響もあると思いますが。)。

 やはりこの楽曲を印象付けるのはラテンを感じる16分ピアノでしょう。特にAメロでは16符裏,表休符が多くバスドラの4つ打ち、スラップベースと相まってクールなグルーヴを感じます。

 この楽曲の評判を見てみると割と「山下達郎」のワードを多く見かけました。初めに聴いた時は何もそう思わなかったのですがそれを踏まえて改めて聴いてみると確かに「っぽさ」は分からなくないような気がします。個人的には「歌の切り方」かなと思っています。冒頭Aメロのレ#ファ#ソ#→「白む」の「む」が「むぅっ」と聴こえ、語尾を張り上げるこの感じが山下達郎さんっぽいのかなと感じました(この切り方は特に「sparkle」を思い出させる。)。まぁ彼自身も

peing.net

こちらで「山下達郎さんに感銘を受けています。」といった旨を書かれているので何かしらの影響はあるとみてもいいのではないでしょうか。

 

 個人的に好きなポイントはサビに入る前の16分メロですね。かなりブラックさを感じてカッコイイなと思います。

 

9.UNTITLED MAGICAL GIRL/南野このみ(CV.首藤志奈),西脇ヒカル(CV.湯浅かえで),東條優奈(CV.内田秀)

www.youtube.com

発表日:10月7日

 

作詞:イシイジロウ,FiFS

作曲:蓮尾理之(siraph)

編曲:蓮尾理之(siraph),照井順政(siraph)

 

 皆さんは「魔法少女」と聞かれてどの魔法少女の印象が強いですか?「カードキャプターさくら」,「リリカルなのは」,「まどマギ」…様々な時代に魔法少女ものはありますが、また新たな魔法少女ものが2022年、スマホゲームとして誕生するそうです。

(前略)

《『純潔の魔法少女‐UNTITLED MAGICAL GIRL‐』とは》  

魔法少女年代記を切り口で、 その時代時代の魔法少女に写しだされる青春時代の少女像を描こうとする作品。  誰かによって作られていく価値観や常識にとらわれず、自分を貫き、自分の理想の姿と幸せを追い求める、新しい魔法少女たちが奮闘する物語。

(以下略)

引用元:魔法少女プロジェクト『UNTITLED MAGICAL GIRL(仮)』2022年にスマートフォン用ゲームアプリ化決定!タイトルを『純潔の魔法少女‐UNTITLED MAGICAL GIRL‐』へ  PRTIMES

 という内容で各年代によって話が分かれているそうですね。80年代は「星の魔法少女篇」、90年代は「翼の魔法少女篇」、00年代は「花の魔法少女篇」となっており各年代にも主題歌があります。

 

80年代

タイトル:恋する魔法少女☆          

作詞:イシイジロウ,FiFS 

作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

歌:笠原弘子

 

→映像,楽曲からも80年代特有のシティポップに感じる。

 

90年代

タイトル:希望の翼

作詞:イシイジロウ,FiFS 

作曲:奥井雅美 

編曲:鈴木Daichi秀行(Cubic Records)

歌:奥井雅美

 

サウンドは小室サウンドを意識している感じに聴こえる。

 

00年代

タイトル:FLOWERY MY WAY

作詞:イシイジロウ,FiFS 

作曲・編曲:JUVENILE

歌:May'n

 

→映像,楽曲からも深夜アニメ・エロゲのOPを感じる。

 

 各年代の楽曲を聴いてみるとその年代の特色に特化した楽曲となっており、各年代の世界観をより楽しめる楽曲になっているかと思います。

(前略)

80年代をテーマにした「星の魔法少女篇」、90年代をテーマにした「翼の魔法少女篇」、00年代をテーマにした「花の魔法少女篇」、3つの時代を締めくくる最後のイメージムービーである第10話「純潔の魔法少女(「UNTITLED MAGICAL GIRL」)」を10月7日(木)にYouTube上で初公開いたしました。

(以下略)

引用元:魔法少女プロジェクト『UNTITLED MAGICAL GIRL(仮)』2022年にスマートフォン用ゲームアプリ化決定!タイトルを『純潔の魔法少女‐UNTITLED MAGICAL GIRL‐』へ  PRTIMES

 そして上記の3つの時代を締めくくる楽曲が「UNTITLED MAGICAL GIRL」となっています(各時代の魔法少女が一緒に歌唱しているので「3つの時代を締めくくる楽曲」という事が想像に容易いことだと思います。)。

 そのため本楽曲は「2010~20年代」の雰囲気を纏った楽曲に感じます。

 まずは冒頭のポエトリーリーディング。日本において形態としては昔からありますが、表に触れる機会があったのは割とこの時代なような気がします。ラップにしても「不可思議/wonderboy」や「MOROHA」,「狐火」、バンドとしても「amazarashi」、ボカロとしてもこちらのブログで主に2010年付近以降の楽曲が多く、また声優楽曲としても去年挙げたイヤホンズの「記憶」もありますし、さらに最近のコンテンツとしても「Princess Letter(s)! フロムアイドル(プリレタ)」でポエトリーリーディング楽曲があります。

 そしてジャンルの取り合わせ。少し高音なkickやsnareの音でクラブミュージックの感じがしますし、(恐らく照井さんによるものだと思いますが)ギタープレイはサビのカッティングBメロのワウ→ブラックに感じるプレイ部分もあるし、サビ終わりのディレイが掛かった3連符の様なアルペジオプレイはポスト、マスロックにも感じます。さらにそこへストリングスやウィスパーヴォイスが加わることでアニソン的でもあるし、様々なジャンルの音、プレイが取り合わさっているように聴こえます。こういった楽曲といえば極端な例だと「ヒャダインさん楽曲(今年でいうとこれ)」や最近では「ずっと真夜中でいいのに。」もそういう風に聴こえます。

 この楽曲面白いのがポエトリーリーディングが終わった後のAメロなんですが

 

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(リズム譜)

 

最初に1/4拍子が挟まってしかも4つ打ちのバスドラは1拍ウラから入るというとても違和感ある入りになっています。しかしベースはサビまで入らないので低音部分はバスドラだけであり、必然的に4つ打ちのリズムに強く引っ張られ、逆にピアノが裏拍で入ってるような錯覚を起こし、違和感なく聴けるようになっています。裏だけど4つ打ちに引っ張られ、錯覚を起こす面白い仕掛けだと思います。

 個人的には大サビ(と思われる)所がとても好きです。ここのメロディ、サウンドが何故かとても「包容感」を感じるんですよね。そして5小節目の不穏さを感じるコード…このコードがあまり聴いたことのない感じで新鮮と共に心に響く感じがしました。

 今年、クレジットで割と蓮尾さんと照井さんを見た気がします。照井さんは他の方がブログで書いてらしゃいますが、蓮尾さんは上田麗奈さんの「anemone」や結城アイラさんの「A Promise」、jubilee jubileeさんの「虹色ガーランド」など作・編曲されていましたね(個人的に「虹色ガーランド」のコード感が蓮尾さんを感じる。)。まぁ蓮尾さんと照井さんがメンバーの一員である「siraph」でも新曲出してましたね。

 「UNTITLED MAGICAL GIRL」早くフルで音源化しないかな…

 

10.EVERLASTING(M@STER VERSION)/本田未央(CV原紗友里)、辻野あかり(CV梅澤めぐ)、双葉杏(CV五十嵐裕美)、木村夏樹(CV安野希世乃)、アナスタシア(CV上坂すみれ)、 ナターリア(CV生田輝)、 橘ありす(CV佐藤亜美菜)、輿水幸子(CV竹達彩奈)、依田芳乃(CV高田憂希)、川島瑞樹(CV東山奈央)

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視聴動画:11月12日,CD:11月24日

 

作詞:森 由里子

作曲・編曲:田中秀和(MONACA)、滝澤俊輔(TRYTONELABO)、睦月周平

Vocal Recording Engineer 野田隆之

Mixing Engineer 近藤圭司(SIGN SOUND)

E.Guitar 堀崎 翔

E. & A.Guitar 睦月周平

Bass 兼子拓真

Piano 滝澤俊輔(TRYTONELABO)

Drums 山本真央

Violin CHICA 岡部 憲 沖 祥子 押鐘貴之 杉野 裕 杉山由紀 藤家泉子

Viola 金 孝珍 細川亜維子

Cello 岩永知樹 江口心一

Trumpet エリック・ミヤシロ 鈴木正則

Trombone 中川英二郎 半田信英

Horn 内藤貴司

Flute 多久潤一朗

Oboe 最上峰行

Clarinet 東 紗衣

Faggot 長 哲也

 

 こんなのずるじゃん!!

 

 田中秀和(MONACA)さん、滝澤俊輔(TRYTONELABO)さんが作編曲した5周年曲「EVERMORE」コンビに加えて睦月周平さんが加わっただと…おかしくなっちゃうよ

 

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 「EVERLASTING」作曲対談動画として、親切にも日本コロムビアさんが2021年11月17日「もっと!デレステ☆NIGHT」にて放送されたマジカルエキストラタイムのフルバージョンを動画で上げて下さっています。これによると

 1.発注書に書かれてたキーワードが「カオス」→最初は「カオス」を軸に作っていっ

  た。(4:17辺り

    2.作曲面ではカオス、編曲(特に音像で)シンデレラ感を出している。(8:09辺り

 3.本楽曲はイントロ(ドラムが入る所から)から作った。そこから取っ掛かりがで

  き、どう進めていくかの指針になった。そのイントロは滝澤さんを中心として制

 作。(17:0223:42辺り

 4.Aメロは睦月さんが主に制作。分数aug多め。(18:1122:25辺り

 5.間奏のメロは10曲の既存楽曲から拝借。それ以外にもこの楽曲は10に関連する箇所

  がいくつかある。(26:0436:36辺り

 

 etc…(他にもトピックはありますが割愛)

 ということを対談で仰っていました。

 

 

  1,2に関して,音楽プロデューサーの柏谷さんが「シンデレラのアイドルは色々な個性な子がいっぱいいるのでそういうことをどう伝えるかというと『カオス』って言葉があったので…」という旨の発言を仰っていますが、確かに本楽曲はカオスに感じますね。(ジャケットのイラストからも全員が違う方向に指さしていることからも十人十色の個性を表していることが分かる。)

 

  構成

  • イントロA(00:00~00:44)

  ストリングスパート。複雑なコード感がMISIAさんの「everything」を想起させる。

  • イントロA(00:44~00:54)

  3.部分。6/8でコードが変わっている部分がカオスさを加速させているように聴こえ

 る。EVERMOREでも歌い出しは41秒くらいまでですがEVERLASTINGはもっと長い54

 秒。現代の楽曲としてはかなり挑戦的であるがアイマス関連楽曲は現在、サブスクを 

 していないのでイントロを短くする、なしにするといったことを恐れずに出来るのか

 もしれない。

  • 1A(00:55~01:25) 

  4.部分。確かに分数augが3,4,7,8,12小節等で聴こえる。多く分数augを出して

 いるのにこれが田中さんではなく睦月さんによるものと思えば面白いのかもしれな

 い。

  • 1B(01:26~01:33)

  符点4分音符なメロディーとキメが印象的なセクションである。

  • 1サビ(01:34~01:53)

  安定のⅠ→Ⅶm7-5→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅴm7進行。田中さんが手掛けた「Star!!」や

 「M@GIC☆」(厳密に言えば「Star!!」はⅠ→Ⅶm7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅴm7)、滝澤さん

 が手掛けた「Shine!!」のサビにも使われているので、2人が使った進行として10周年

 という大きな記念曲に採用したのかもしれない。*3

  • 間奏1(01:54~02:03)

  ドラムがサビと同じ8ビートを叩いているのでサビの余韻を持ったまま2Aへ

  • 2A(02:04~02:33) 

  1Aのドラムはリムショットだったが、2Aはタムになっている。そのため1Aの「始

 まり」感はなく、サビの余韻を1Aほど減らさずに進んでいるように聴こえる。

  • 2B(02:34~02:42)

  サビ前は1Bではベースとドラムが入っていなかったが2Bでは入っている。

  • 2サビ(02:43~03:02)
  • 間奏2(03:03~03:23)

  タタッタタッタタッタタッタッタッの2小節ドラムが印象的。Bのような符点4分音

 符なメロディーとキメが少し出てくる。

  • Dメロ(03:24~03:48)

  バスドラは4つ打ちになり、メロディーは音数も少なく伸びやかで、サビ程ではな 

 いが、盛り上がりを見せ、次のセクションの繋ぎに聴こえる。

  • 間奏3(03:49~04:12) 

  5.部分。10曲のメロディーが入っている。バスドラは4つ打ちだがコードや時計の秒

 針が6/8拍子で刻んでいるのでここも少し「カオス」に感じる。

  • 3サビ(04:13~04:40)

  ダメ押しのサビ冒頭のキメ。そしてここでも一瞬だが「1.Blank Paper」の箇所で

 も書いた途中で4つ打ちに変化する。これでも充分に好きだが、さらにサビラストを

 際立たせるドラムのスネアのタンタンタンタン叩きが出てくるので堪らない。個人的

 にこのサビラストに出てくるドラムのスネア叩きのことを「Snow halation叩き」と呼

 んでいる。今考えたが。

  • アウトロ(04:40~05:06) 

  基本的には間奏1と同じ。最後にはBのような符点4分音符のストリングスのメロデ

 ィーが来て、ジャーーーーンで終わる。

 

 ここまで書きましたが、「カオス」といいますか内容が濃すぎますね。1曲で何かしらのアトラクションに乗っているような気分になります。この曲に携わった皆さんたちの本気といいますか、アイドルマスターシンデレラガールズに対する愛を感じました。

 

以上10曲になります。
入りきらなかったやつはこちら↓


愛わずらい/文坂なの

   ➡昭和歌謡×ネオポップ。サウンドがかっこいい。

シンゴ/Tempalay

   ➡この曲というかアルバムが物凄く良かった。

/King Gnu

   ➡これを今の日本の音楽シーンにぶち込むのはとても挑戦的。

ひかりのディスコ/CAPSULE

   ➡6年振りの新曲。サビの同じメロディにコード進行が変わっていく感じが良

    い。

悶々/Cody・Lee(李)

   ➡サビのコード進行が面白い。30・40代のバンド世代にはニヤッとする歌詞だと

    思う。

エンパシー/ASIAN KUNG-FU GENERATION

   ➡音は「現在」のだが曲調が「昔」のアジカンに感傷に耽る。

Nemesis/cero

           ➡冒頭のピアノのコード感が物凄く好き。

運命/はるまきごはん×煮ル果実 feat.初音ミク&v flower

   ➡サビのギターがうるさい。120点。

往け/LiSA

   ➡編曲江口亮の音。

バッキンガム/水曜日のカンパネラ

   ➡「宮殿」と「給田」を説明しているだけなのに何故こんなにもかっこいいん

    だ?

仏だけ徒歩/東京事変

   ➡もうニルヴァーナか!

 

おわりに

 今年の10選の楽曲を見てみると割とコード進行とかではなくリズムに注目した(特にブラックミュージックとか)視点で好きになった楽曲が多かった気がします。毎度のことですが、自分が好きな曲ばっかりを選んでただ好き勝手に書き連ねただけですのでとても読み辛いですが、「好き」という思いが伝わったのならとても幸いです。


 最後まで拝読ありがとうございました!皆さんの記事も素晴らしいので是非アドベントカレンダーへGO!!

(再び貼る)↓

adventar.org

*1:ブログを一通り書き終わった後、偶然にkamome sano feat. Marpril「キミエモーション」を知りましたが、これも「2ステップ+他のジャンル(四つ打ち)」になっていたので注釈として残しておきます。

*2:注釈1同様にブログを一通り書き終わった後、「ラブライブ!スーパースター!!」第3話挿入歌である 澁谷かのん、唐 可可の「Tiny Stars」を知りましたが、これも4.おもいでしりとり/DIALOGUE+で書いた共通項が一緒でこれも好きになりました…またこの曲を聴いて9nineの「SHINING☆STAR」を思い出しました。これも「STAR DRIVER 輝きのタクト」のOP曲(2011年3月9日発売)で2000年代後半~2010年代前半くらいまでの切ない曲調だけどアップテンポなアニソンです。

*3:そういえば睦月さんの作編曲した「ずるじゃん」のサビもこの進行だな…と思っただけ。